響〜HIBIKI〜
「わかった、やっぱりあの曲がいい」


「酔ってるから、上手に弾けないよ」


花奏が口を尖らせる。


「でも、聞きたい。あの優しいメロディが好きだから、いつもみたいに弾いて」


そういいながら、TAKAHIROは花奏の横に腰掛ける。


「狭いよ」


花奏は笑いながら、TAKAHIROと椅子を半分ずつにして座った。


「近くで聴きたいから」


「近すぎじゃない?」


密着した二人は、内心ドキドキしていた。


花奏は、深呼吸をして鍵盤の上に指をのせる。


いつもの優しいメロディが流れると、TAKAHIROは、目を閉じた。
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