響〜HIBIKI〜
「もう、一枚撮ってもいい?」


TAKAHIROは、ためらわず、また花奏の顔の真横に花奏を寄せた。


花奏は、気になって横目でTAKAHIROを見た。


カメラ越しに花奏の視線を感じたTAKAHIROは、花奏の方を見た。


数秒間の沈黙の後、TAKAHIROの唇がそっと花奏の唇へとおちた。


花奏は、肩を強張らせながら目を閉じた。


TAKAHIROは、花奏が肩を強張らせているのに気づき、唇を離した。


「あ、ごめん」


「……ううん。あの、緊張して…」


花奏は、そう言いながら首を振った。


TAKAHIROは、花奏の手を取るとその手の平を自分の胸に押し当てた。


すると花奏が、クスクスと笑いだした。


「分かる?」


TAKAHIROは花奏の顔をのぞき込むと、


「俺も、緊張した」


TAKAHIROの心臓の鼓動は、花奏以上に鳴り響いていた。
< 53 / 142 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop