響〜HIBIKI〜
翌朝、目が覚めるとかなの目の前にはTAKAHIROの顔があった。


(えっ、ここTAKAHIROさんの部屋?)


かなのドキドキをよそにTAKAHIROはかなの手をしっかりと握りしめたまま熟睡していた。


(いつの間にここに来たのかな)


かなはあせりつつ、TAKAHIROの顔見つめた。


そうっと身体を起こし、TAKAHIROの顔を覗き込む。


(まつ毛、私より長いかも?…あ、こんなとこにほくろあったんだ…)


TAKAHIROの顔をマジマジと見ていたが、かなの唇がTAKAHIROの額に近づく。


唇が額に触れた途端、TAKAHIROの目が開いた。


「かな、こっちは?」


TAKAHIROは、眠そうな顔をしながら唇を尖らせて催促をしてきた。


「え?」


かなは、戸惑いながら考える。


「かながしてくれないなら…」


待ちきれないTAKAHIROは、さっとかなを抱き寄せ唇を奪う。


「んっ」


TAKAHIROはしてやったりといった表情でニヤリと笑った。


かなは照れて、とっさに話をそらした。


「なんで私、この部屋で寝てるの?」


「なんでって、かながソファーで寝ちゃうから、自分だけ部屋で寝るわけにいかないし、かなの部屋もわかんないし、仕方なく俺のベッドを半分提供してやったわけ」


「ほんとに?」


「ほんとだよ。別にかなが想像してるような、やらしいことしてないし」



「えっ、やらしいってっ」


「今も俺を襲おうとしてただろ」


「してないよ」


かなが顔を赤らめるのを見てTAKAHIROは楽しんでいた。
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