響〜HIBIKI〜
二人は早朝の海岸に散歩に来ていた。


「朝陽も綺麗でしょ」


「うん」


キラキラと輝く水辺を見ながら、波打ち際を手をつないで歩く二人。


「今日は何する?」


今日が最後の一日になる。


「今日は、かなのお父さん達、夜の準備で忙しいんじゃないの?」


「そうだね」


「撮影にいっぱい協力してもらったし、今日は俺がお礼に手伝うよ」


二人が一緒にいられれば何をしていても楽しい。


「これ運んでいい?」


TAKAHIROは、グラスを運ぶ。


「うん、お願い。TAKAHIROさん、後で、炭運ぶの手伝って」


「オッケー」


「TAKAHIROくん、助かるよ。しかし、スターにこんな仕事手伝って貰うなんて悪いなぁ」


オーナーは、嬉しそうに話す。


「いえ、とんでもないっす。結構、身体動かすの好きなんで。あぁ、そうだ、俺が再就職する時が来たらここで雇ってもらえますか?」


TAKAHIROは笑いながら、そう言った。


「そんな日が来るわけないけど、TAKAHIROさんなら大歓迎よね、かな。お婿さんに来てくれてもいいくらいよ」


「お母さんっ、何言ってるのよ。そんな日は来ないから、心配しなくて大丈夫よ」


母親の意見に呆れるかなだった。
< 63 / 142 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop