響〜HIBIKI〜
TAKAHIROは、グラスを片手にテラスの手すりにもたれ、わかなの様子を眺めていた。


かなは打ち上げが始まってから、ずっと忙しそうに走り回っていたが、少し落ち着いてやっとTAKAHIROの視線に気付き、駆け寄った。


「TAKAHIROさんっ。あっ、お代わり持ってこようか?」


TAKAHIROのグラスを見てかなが行こうとするとTAKAHIROがさっとかなの腕を掴む。


「かな、側にいてよ」


TAKAHIROが甘えるように言う。


「うん」


かながうなづく。


今夜も星が綺麗に輝いている。


「かなちゃんっ、ピアノ弾いてよ」


ほっとする間もなく、かなのピアノの腕前を聞きつけたスタッフがかなを呼びに来た。


かなはTAKAHIROの顔を見て、


「じゃあ、TAKAHIROさん歌ってくれる?」


そう言うと、TAKAHIROは、


「もちろん」


と快く引き受ける。
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