響〜HIBIKI〜
「お疲れ様でした〜」


スタッフ達は、すっかり出来上がった状態で打ち上げはお開きになった。


TAKAHIROと花奏がスタッフ達を見送った。


「TAKAHIROさん、今日はあんまり飲んでなかったね」


花奏はTAKAHIROの顔を覗き込む。


「ん?そうかな?酔ってるよ」


そういいながら、TAKAHIROは打ち上げを盛り上げてはいたが、それほど酔っているようには見えなかった。


酔いつぶれて眠ってしまったら、花奏と過ごす時間がなくなってしまうと思ったTAKAHIROは思いっきり酔うことができなかった。


「そうだ。TAKAHIROさん、私の部屋に来る?」


かながTAKAHIROの手を掴んでそう言った。


「え…、かなの部屋に?」


「うん、かなの部屋に」


TAKAHIROは花奏の大胆な行動に驚いた。


「かな、大胆だね。いいの?」


「え?なにが?」


TAKAHIROは花奏に強引に近い状態で手を引かれ部屋の前まで来た。


「ちょっと待ってて」


そう言うとかなは部屋に入って行った。


「お待たせ」


花奏はニコニコしてドアの向こうから顔みせると、TAKAHIROを部屋へ招いた。


TAKAHIROが、想像していたものとは全くちがい、花奏には大きなベランダがつながっていた。


「ほら、見て」


ベランダからは、星空が見渡せた。


「うゎあ、かなの部屋、最高じゃん」


TAKAHIROは、空を見上げた。


かなは、最後の夜を星を見て過ごしたいと思ったのだった。
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