響〜HIBIKI〜
「かなちゃんっ」


マネージャーが息をきらしながら走りより、花奏を呼び止める。


花奏が振り返る。


「あっ」


マズイ、と思った。


「かなちゃんっ、久しぶり。元気だった?」


息切れしながら、愛想よく話しかけるマネージャー。


「はい…」


花奏は、気まずそうに返事をした。


「ちょっと、時間いいかな?」


マネージャーは、額の汗を拭きながら、必死そうな顔で頼む。


「あの、ん…、友達が一緒だし…」


花奏は、断る為の口実を探す。


「かな、誰?スタッフさんと知り合いなの?」


ゆきが驚きながら聞いた。


「あの、うん、ちょっとした知り合いだけど…」


もちろん、何も話をしていないので、このやりとりに二人は目を白黒させていた。


ゆきはマネージャーの必死さを見て、


「なんで?かな。行かなきゃ。私達なら大丈夫だよ。先に外行ってるから、ね、ゆり」


「うん、行ってきて」


「でも…」


「私達の事は気にしないで」


花奏の本心とはウラハラに周りに押し通されて、連れて行かれることになってしまった。
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