響〜HIBIKI〜
バタバタと廊下を走る足音が聞こえたかと思うと、その足音の主がドアの前でとまった。


ドアノブに手を掛ける音が聞こえると、花奏は掌をギュッと握り締め深呼吸をした。


ドアが開き次の瞬間、



「かな」


優しい声が名前を呼んだかと思うと、振り返る間も無く、温かい腕にすっと抱きしめられた。


涙が溢れる。


島で別れる時は、TAKAHIROに笑顔だけを覚えていて欲しくて、泣くのを必死に堪えた。


今は何も考えることが出来ず、ただただ泣いた。


不安も緊張もTAKAHIROの暖かい腕に抱かれた瞬間すべて忘れた。
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