響〜HIBIKI〜
第11話 乗りかかった船
「皆、かなちゃんに会いたがってるけど、紹介していい?」


撮影の話は、事務所でも噂になっていてメンバー達も花奏に会いたいと言っていた。


「え、緊張しちゃうよ」


マネージャーに言われたが、花奏はTAKAHIROに助けを求める。


「メンバーに会うのそんな緊張する?まぁ、俺に初めて会った時もガチガチだったし、仕方ないか」


「うん。ねぇ、泣いたから、目腫れてるよね。ひどい顔でしょ」


「全然大丈夫だって」


TAKAHIROは、笑って花奏を励ます。


「ちょっと、いいっすか?」


控え室の入り口でTAKAHIROが声を掛けると一斉にメンバーがこちらを見た。


「こんばんわ」


花奏は、TAKAHIROの後ろからそっと顔をのぞかせ、小さな声で挨拶した。


「あれ、ひょっとしてこの前TAKAHIROの撮影で一緒に仕事した…」


「あ、例のかなちゃんだっけ?」


「あ、監督べた惚れの?」


「やべー、可愛い〜」


TAKAHIROの説明を聞き終わる前から、皆それぞれに花奏に話しかけて来た。


「は、初めましてっ」


緊張しまくりの花奏だった。
< 94 / 142 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop