牙龍 私を助けた不良 下
何かを覚悟したような、確かな声が、凜華の答えが返ってきた。
「13階の何号室?」
『・・・来れば分かる。フロントに連絡するから、エレベーターで上がってきて』
凜華の住んでいるマンションは、セキュリティの厳重な所のようだ。
プツリと切れた通話に、ケータイをしまいながら駐輪場からほど近いフロントに向かって歩く。
ガードマンが一瞬警戒したような視線を向けるので、こちらも警戒してしまったが、すぐに彼らのトランシーバーが鳴った。
機械音のような声が聞こえてきて、すぐに頭を下げられたので、下げ返しながら、フロントに入る。
雨音が聞こえなくなり、ジャケットから雨の雫が落ちていく。
・・・タオルなんか持ってきてない。