牙龍 私を助けた不良 下
何とか冷静になると、エレベーターから少し離れた場所にある、飾りっ気のないシンプルな白いドアの前まで進む。
ドアの横にあるインターフォンを鳴らすと、少ししてから、カシャッという音が聞こえてきた。
『鍵開けてるから、入ってきて』
「・・・・・」
覇気のない声の後、またカシャッと音がして、インターフォンが沈黙する。
ノブに手を掛けて、ゆっくり手前に引くとドアがあっさりと開く。なかに入れば、そこには一匹のネコがちまっと座っていた。