牙龍 私を助けた不良 下
『ミー』
「ミライ」
『ミッ』
行儀よく玄関に座っていたネコは、凜華が飼っているミライだった。
靴を脱いで上がろうとした時、ミライが立ち上がって、くるりと背を向けながら、こちらをじっと見上げてきた。
・・・ついて来いってことか。
靴を玄関の端に揃えて置くと、そこから真っ直ぐに続いている廊下を、ミライについて進んでいく。
廊下を突き当たりまで行くと、右手にある少し洒落たドアの前でミライは歩くことを止めて、再びこちらを見た。
「・・・ミライ、ここに凜華がいるんだな?」
『ミィー』
ミライは肯定するように鳴くと、ドアに取り付けられたネコ窓から、部屋の中へするりと入っていった。