牙龍 私を助けた不良 下



・・・言えない、か。


普通に考えて、言いたくないことを言うなんて無理があるだろう。現に、俺だって言いたくないことはある。


昔の自分のことや、家のこと・・・とか。まぁ、様々にある。


凜華と比べると、そんなに大したことことじゃない。比べられるほど、過酷でも何でもない。


それでも、凜華がどんな気持ちでいるかくらいは、理解できるつもりだ。



「凜華が言えないのは分かってる。でも例えそうでも、俺はお前のことを知りたいと思う」


「・・・きっとつまらないよ」


「──なら、何でお前は『つまらない』と思うことを引きずってるんだ」



言い方は酷いかもしれない。荒療治にかからないと、凜華はこのまま変わらないだろう。


< 19 / 89 >

この作品をシェア

pagetop