牙龍 私を助けた不良 下
side:凜華
今のままでいいなんて、私は、一度も思ったことなんて無かった。
真っ直ぐに歩けなくても、自分の足で歩いて行かないと駄目なんだって。
だけど、私は怖い。強かったはずなのに、結局それも過去の栄光であったにすぎない。
私はただ、過去に縋っているだけ。『あの日』は二度と還ってこないのに。でも。
「・・・木藤は分かる?」
──私を庇うようにして、アイツは銃に撃たれて血に染まった。