牙龍 私を助けた不良 下
言っても大丈夫だと思わせる木藤はきっと、本当に、私のこと知ろうとしてくれている。
海に行ったときも、入院してたとき、聞こうと思っていたなら聞いて来ただろう。
それなのに、木藤はちゃんと待ってくれた。約束を守ってくれた。
・・・──無理に、お前の過去を聞こうとは思わねぇ──・・・
・・・──何を抱えててもいい。けど、無理すんな。一人で背負うのが無理なら言え──・・・
・・・──俺が一緒に背負ってやる──・・・
きゅっと木藤の腕の裾を掴んで、私は、小さく口を開いた。
例え嫌われてしまっても、木藤には聞いて貰いたいと思いながら。