牙龍 私を助けた不良 下
「はい、緋姫です」
ポーンッという軽快な音がして、エレベーターが開いたので、そこから出ながらそう言うと。
『もっしー、こちらはネルでございますのにゃー』
「何故お前が、そのケータイを持ってるんだ」
『姫ちゃんが連絡してくれ、って言ったからなのにゃー』
あの人かと思いきや、まさかのネル。彼女は知り合いの一人で、猫が大好きな人物だ。
語尾に『にゃ』という口癖がついているのは、本人も直らないからと放っているらしい。
「私に何か連絡でも?」
『今日はハッピーバースデーだから、おめでとにゃー』
「・・・覚えてたのか?」
『もちろん。家族の誕生日くらい覚えてて当たり前にゃ!明日来る時、改めてお祝いするから楽しみにしててほしいにゃー』
「ありがとう。明日、楽しみにしてる」