牙龍 私を助けた不良 下
待ってるにゃー、という言葉と共に通話が切れて、無機質な音が流れた。
血の繋がりを持たない家族たちは、一度ぼそりと溢したくらいのことを、しっかりと覚えていたらしい。
かくゆう私も、彼らの誕生日は確かに覚えているので、嬉しくないことはない。むしろ、嬉しいと素直に思える。
ケータイを閉じると、ズボンのポケットにしまい、店前にあるバス停に向かった。
* * * * *
十数分かけて家に帰り、鍵を差し込んでドアを開けようとすると、手応えがなかった。
・・・閉め忘れか?いや、誰かが帰って来てるのか。