牙龍 私を助けた不良 下



入ってすぐにあるリビングへのドアを見ると、リビングの更に奥にあるキッチンの明かりもついていた。


入るか入らないか一瞬迷い、取り敢えず一旦自分の部屋に行くことにした。


玄関から真正面に見える階段を上がり、二階の通路の右側にあるのが私の部屋だ。


柔らかい色合いの家具で統一した部屋は、必要なものしか置かれていない殺風景な場所だった。


壁に向かって置かれている机に荷物を置き、側に立てている姿見の前で、着けていたヴィッグをいつものように取った。


そして、纏めていた地毛をほどくと腰に毛先が届き、さわりと揺れた。


鮮やかな緋色が、殺風景な部屋の中で存在を主張している。



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