牙龍 私を助けた不良 下
* * * * *
「なるほど、そういうことか」
目の前で、人を睨み殺せそうなほどの強烈な視線を、たった13才の少女から向けられて、17才の青年はすくんでしまっていた。
端から見れば、何とも情けない青年に見えてしまうだろうが、いざ当人の立場になってみればそんなことはいえないだろう。少女の視線は本気だった。しかし。
「本当に何も無かったんだよっ?私がふらついちゃったのを助けようとして、だから、それで巻き込まれちやっただけでっ」
「なら桃華がふらついた理由は?」
「そ、それはっ・・・」
その少女は、隣に座って、必死に彼女を説得しようとしている片割れ・桃華に視線を向けた。
すると彼女の顔は、瞬く間にぼんっと赤くなってしまった。