牙龍 私を助けた不良 下



有宮はうっという顔をしながら、頭を抱え込んでしまった。


そんな奴からの詫びというのは、うかつに桃華をここへ連れてきてしまったことだった。


そして面倒なことに、それを目撃したらしき族に桃華が狙われるようになってしまったらしい。


何でも、桃華が電車の中で盗撮されていたとき、たまたま居合わせた有宮が現場を目撃、そいつを警察に付き出した──までは、よかった。


盗撮されていた恐怖と写真を抹消できた安堵、助けられたことによる安心感から、火がついたように桃華が泣き出してしまった。


しかも有宮が戸惑いながら慰めようとしたら、桃華は彼に抱き付いて、泣き止もうとしながらお礼を言ったらしい。



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