牙龍 私を助けた不良 下
──そして、二度目の冬。
年間行事の一つとして楽しみにしている人も多いだろう、クリスマスの二週間前。
「クリスマス暴走に参加しろ?」
狼王の幹部室で、ソファーに寝転がってバイク雑誌を読んでいたら、ひなたが傍に来てそう言った。
年の暮れにあるクリスマスの恒例であり、健在を知らせるための『クリスマス暴走』を行うのだという。
狼王の場合、暴走族に分類されるチームでは無いので、暴走ではなく走りと言うのが正しいが。
「そ、今年は凜華も走ろうなー」
「急に何を言うかと思えば・・・」
狼王にいるのは協定があるからだ。あくまで私個人として、ケンカに参加したりしたのだ。
さすがに、その走りに参加するというのはどうだろうか。私としては参加したくないのだが。
去年はそう言って参加しなかったし、桃華のこともあったからね。