牙龍 私を助けた不良 下
そうしているうちに、出掛けていた桃華と戒希が帰ってきた。
複雑に絡められた二人の手は、お互いに離れないようにするための手錠のように頑丈そうに見えた。
「デートは楽しかったか?」
「うんっ」
「良かったな、戒希」
立ち上がってさそっく戒希に絡むひなた。空いた隣に、一瞬つまらないなと思った。
そんな私に、ふわふわした優しい香りが近付いてきた。片割れの桃華だ。
幸せそうに微笑む姿に、喜びとと、ほんの少しだけ寂しさを感じた。