牙龍 私を助けた不良 下



「全部話さなければならない時は、必ず・・・。ねぇ、ミライ?」



腕に抱えているミライの頭を撫でながら、視線だけはただ真っ直ぐに外を見つめる。


チャラッ。


ミライが私を見上げた拍子に、胸元のネックレスがその頭が当たって小さく乾いた音を立てる。


ムーンストーンが重なった部分に嵌め込まれた、ブラックロザリオ。


色からは想像できないだろうが、重厚さは感じられない。寧ろ綺麗だといえるそれは、私がいつもつけているものだ。


装飾品にはあまり興味がないので、ネックレスで持っているものはこれともう1つのブラックロザリオしかない。




『お前に持っていて欲しい。それが、あいつの願いだから』


『・・・どうして』


『アイツは言った。大切なモノだから、凜華に持っていて欲しいって』





< 6 / 89 >

この作品をシェア

pagetop