牙龍 私を助けた不良 下
「全部話さなければならない時は、必ず・・・。ねぇ、ミライ?」
腕に抱えているミライの頭を撫でながら、視線だけはただ真っ直ぐに外を見つめる。
チャラッ。
ミライが私を見上げた拍子に、胸元のネックレスがその頭が当たって小さく乾いた音を立てる。
ムーンストーンが重なった部分に嵌め込まれた、ブラックロザリオ。
色からは想像できないだろうが、重厚さは感じられない。寧ろ綺麗だといえるそれは、私がいつもつけているものだ。
装飾品にはあまり興味がないので、ネックレスで持っているものはこれともう1つのブラックロザリオしかない。
『お前に持っていて欲しい。それが、あいつの願いだから』
『・・・どうして』
『アイツは言った。大切なモノだから、凜華に持っていて欲しいって』