牙龍 私を助けた不良 下
十二月は一年の最後の月。相手の隙をついて攻撃を狙う族同士が衝突し、族の中での順位が変動する月でもある。
大きな波の吹き荒れる月は、何もかも全てを飲み込んであっという間に全てを奪っていってしまう。
勿論、狼王もそのことを警戒しているはずだから、他の族との無駄な衝突を避けるために情報を集めるし、より安全なルートを探していると思う。
私も渋々とはいえ暴走に参加することになったから、それに合わせた対応をするようにしている。
不思議な少年に──後に牙龍の総長となる彼にあったのは、そんな時だった。