牙龍 私を助けた不良 下



警戒と称して、緋龍としてのテリトリーを散歩していた夜、偶々見つけたのはケンカの現場だった。


最初は好奇心と興味が沸いたから、観察がてらに私は単純に沈黙を選んだ。


この辺りで、ケンカをしている奴等に興味が沸いたことがなかったから、自分の選んだことだったけどちょっと新鮮に感じた。


しばらく見ていれば、似合う奴にしか似合わない銀髪をした少年が、圧倒的な力で一人勝ちしていた。


・・・見覚えがない。


テリトリーである裏町の見慣れた路地。建物の影に隠れて見ていれば、ふと彼に見覚えがないなぁと思った。


無造作ヘアーだけど綺麗な銀髪に、人工的ではない綺麗な青色をした瞳。知っていたら、すぐに分かるような特徴だった。


いや、待て。銀髪で青い瞳の少年については、少し前にだけど聞いたような覚えがある。



< 63 / 89 >

この作品をシェア

pagetop