牙龍 私を助けた不良 下
名前が全国的に有名になった全国No.1暴走族『牙龍』に、手がつけられない男が入って来たのだと。
その話が本当なら、合点がいく。牙龍は確か遠征で今ここに来ているから、彼がここにいても間違いはない。むしろ、当然だって言える。
──・・・ならば、私が取るべき行動はたった一つだ。
「──おい、お前」
「あぁ?」
「私のテリトリーで何やってる」
目深にフードを被りながら近付けば、彼の青い瞳がよく見えた。そして綺麗なのに勿体ないと感じた。
何度も見てきた、輝きを自ら濁していく原石の瞳。誇りを被って腐敗していく、輩を私は何度か見て来たけれど。