牙龍 私を助けた不良 下
打ち破れない殻を、闇雲といえどもとても必死で破り去ろうとしているような力強さも感じた。
──彼はきっと強くなると思う。それに、物は試しだ。やらないと何も始まらないし
「お前、目が死んでるな」
「・・・っ!」
いきなり目をガッと開いて、拳を私に向けて本気で突き出してきた。
急速に迫るそれをギリギリまでそれを眺めて悪くはない、と思ったが、まぁでも──やっぱり爪が甘い。
さっと体を反らしてそれを交わして、無防備な腹に体重を掛けた拳を打ち込んだ。
「まぁ、落ち着け」
崩れた彼の前にしゃがんで、その様子を見てみれば、私の瞳をじっと見詰めていた。