牙龍 私を助けた不良 下
「お前さ、せっかくキレイな目ぇしてるのに勿体ないな。・・・それ、私と同じで自前だろ」
「・・・・・」
理由を聞けば、何もケンカする理由なんて無いと言った。
無駄なケンカ、とは言わないけれど。でも。
「自分を傷付けるような戦いならするな。むなしいだけだ」
ボソッとそう言って、ポケットから白いハンカチを取り出して、彼はの血塗れな手を包んだ。
白いそれは、血が染み込んですぐに赤くなる。私はは彼の顔を見上げた。
「お前は強くなれる」
「え・・・?」
「大切な物を見つけて、それを守れる奴になれ。力だけが強さじゃない」
「・・・・!!」
「力が弱くても、大切な物を守ろうとする心を持ってる奴の方が本当に『強い奴だ』」