牙龍 私を助けた不良 下



side:龍騎


小刻みに肩を揺らしながらも、泣き声を上げまいと必死な姿はまるで、迷子の子供のようだった。


分からない道で、ただ必死に誰かを待っているのか、はたまた探しに行こうとしているのか。



「・・・・・」



何て声を掛けたらいいのだろうか、戸惑う。彼女を落ち着かせてやるくらいのことしか俺には出来ない。


だが、約束だけは守りたい。初めて俺が、『木藤龍騎』として誰かと交わした約束なんだ。


凜華が大好きだったという桜井ひなたが、どんな人物だったのかは話でしか分からない。でも、それでも一つだけわかることがある。



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