牙龍 私を助けた不良 下



「責められて、責任取れって言われたら満足するのか?」


「・・・え、・・・・・」



──姫蝶から話を聞いて、それからずっと引っ掛かっていた、凜華に聞いて確かめたかったこと。



誰かの命──しかも生死が関わる何らかの事態に関わったことは、俺には一度もない。


知った風にいうのは同情だ。分かる、何て言っても凜華の細かな心情までは分からない。分かるわけがない。


その事件の当事者でもなければ、そんな経験をしたわけでもない。ましてや、亡くなった人物についてほとんど知らないのだから尚更だ。



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