牙龍 私を助けた不良 下
だけど、そこで私に生まれたのは矛盾。聞きたくないのに、安心のために聞きたいと望むなんて馬鹿げた話だ。
それでも、多分私は、矛盾していると分かっていながらも、確証を欲していたのかもしれない。
言われなくたって、あの日に捕らわれているなんて、縋りついているなんて、頭のどこかで何となく分かってた。
二年にも満たないくらいに短い期間だったのに、かんなにも私の思考回路を侵食する思い出。
大切なはずなのに、忘れたくないはずなのに、何故か私を苦しめる。
だけど、──それが罰だというのなら、私はそれを受け入れよう。
自己満足とか、自分勝手とか。周囲がそう言って私を嘲笑っても構わない。