牙龍 私を助けた不良 下
幼い子供がしてはいけないことをすれば、周囲の大人はそれをダメだと言う。それと同じ。
一度ではなく二度、三度と何度でも繰り返し言っている。子供がしてはいけないことをするたびに。
「何度も言われたら、人は覚えるから」
無知な私に思い付けたことは、そんな方法だけ。
「だから私はその方法を選んだ」
「凜華、」
「辛くなるのは私だけ」
「凜華、」
「──誰も傷付かない一番の方法は、これしかなかった」
「凜華っ!!」
木藤が私の肩を思い切り肩を掴んだ。