牙龍 私を助けた不良 下


精一杯の強がりが、今の私を作っているものだから。


過去にすがっているように見えても、私は忘れたくないだけだから。



「同情しないでっ」



部外者の人間に、当事者たちの気持ちなんて何も分かるわけないのに。


大変ね、なんて言う大人も部外者も。辛いよね、なんて言う偽善者も。


私が聞きたいのは、そんな取り繕うような、知ったようなふりをする言葉じゃない。



「お願いだから・・・っ」




泣いたの。たくさん泣いたの。だから、もう誰も触れて来ないで。









「苦しいのよ・・・」



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