私は彼に愛されているらしい2
何にも捕らわれないで新しいものに触れて満たされるなんて一体いつ以来の体験だろうか、とにかく両手いっぱい広げて自由でいられる感覚に有紗は幸せを感じていた。
今だけは薬指に付けられた大輔の名残を見ないフリする。
明日は指輪を通すためのチェーンネックレスを買いに行くつもりだった。その足取りも少しは軽くなりそうだ。
朱里との約束は守らなければいけない、それは自分の為でもある。
今はただ時間を貰っているだけに過ぎないのだ、そしてその時間は大輔を拘束している時間であるという事も電車に揺られながらようやく気が付いた。
こればかりは自分を自由にしてはいけない。
気持ちの整理なんて期間を決めて出来るものじゃないと分かっているけど、やはり自分を甘やかしては周りに迷惑がかかるだけなのだ。
「…ごめん大輔。」
ほぼ貸切状態の電車の中で月に向かって呟いた。
大きな失敗をしてしまった昨日、自分のミスが信じられない有紗は一時強い憤りに襲われ何かに八つ当たりをしなければ処理できない程になったことがある。
視界に入ったのは虚しく輝く指輪。
これを付けていたばかりにミスをしてしまったのではないか、有紗は理不尽にもその怒りや苦しみを全て指輪のせいにしてしまったのだ。
その感情がすぐに消えたとは言わない。
やはり気持ちがある程度落ち着くまで全ての不満を指輪に向けてなんとか自分を保っていたのだ。
指輪の向こうには大輔がいる。
有紗は自分の犯した失敗を全て大輔のせいにして逃げようとした、それが今全て自分に返ってきている。
向かい合う窓には冴えない表情の自分が映っていた。
その向こうに浮かぶ月を見つめて有紗はゆっくりと瞼を閉じる。
今だけは薬指に付けられた大輔の名残を見ないフリする。
明日は指輪を通すためのチェーンネックレスを買いに行くつもりだった。その足取りも少しは軽くなりそうだ。
朱里との約束は守らなければいけない、それは自分の為でもある。
今はただ時間を貰っているだけに過ぎないのだ、そしてその時間は大輔を拘束している時間であるという事も電車に揺られながらようやく気が付いた。
こればかりは自分を自由にしてはいけない。
気持ちの整理なんて期間を決めて出来るものじゃないと分かっているけど、やはり自分を甘やかしては周りに迷惑がかかるだけなのだ。
「…ごめん大輔。」
ほぼ貸切状態の電車の中で月に向かって呟いた。
大きな失敗をしてしまった昨日、自分のミスが信じられない有紗は一時強い憤りに襲われ何かに八つ当たりをしなければ処理できない程になったことがある。
視界に入ったのは虚しく輝く指輪。
これを付けていたばかりにミスをしてしまったのではないか、有紗は理不尽にもその怒りや苦しみを全て指輪のせいにしてしまったのだ。
その感情がすぐに消えたとは言わない。
やはり気持ちがある程度落ち着くまで全ての不満を指輪に向けてなんとか自分を保っていたのだ。
指輪の向こうには大輔がいる。
有紗は自分の犯した失敗を全て大輔のせいにして逃げようとした、それが今全て自分に返ってきている。
向かい合う窓には冴えない表情の自分が映っていた。
その向こうに浮かぶ月を見つめて有紗はゆっくりと瞼を閉じる。