私は彼に愛されているらしい2
てっきり仕事に関わるメールだと思っていた有紗は舞の言葉に眉を寄せて疑問を打ち出す。

それは少し不機嫌にも見えた。

「こっちずっと待ってるんだけど。」

しかし舞も負けじと苛立ちを見せたパフォーマンスをして催促の手をゆるめない。

余裕のない有紗は少し燗に触ったがすぐには答えずに少し時間をおいた。

「あの、すみません。今ちょっと忙しいんで後にして貰えますか?」

「はあ?忙しいって…。」

「持田さん、どう?分かりそう?」

舞の言葉を遮るように東芝が現れ自席で忙しなくログオフ状態のパソコンを叩く。

「まだ調べています。」

「あまり時間がないからお喋りは後にして。」

「はい、すみません。」

有紗の答えを受けとると同時に目的の情報をパソコンから得た東芝はまた忙しなく去っていった。

東芝が現れたことによって再び仕事に気持ちを戻した有紗も既に没頭している。

面白くない舞は立ち上がると確保してある端末へ戻っていった。

今日はみちるが横で作業をしているが、これから図面提出を迎えるチームの彼女とはあまり話も出来なさそうだ。

少し乱暴に椅子に座ればみちるが不思議そうに声をかけてきた。

「どうかしました?」

顔を見れば明らかに不機嫌な様子の舞がスクリーンセーバ画面を睨んでいる。

「さっき有紗とちょっとだけ会話したのよ。」

そう言われみちるが有紗の席の方を見れば確かに彼女の姿があった。

遠目でも仕事に集中している様子が分かることからまだまだ忙しいのだと察しがつく。

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