私は彼に愛されているらしい2
「さっき声かけたら睨まれちゃって。」

「言葉も刺々しかったし、まあ怖い怖い。」

ねえ、と2人向き合って同意をしあうタイミングは見事に息が合っていた。

やはり嫌な予感がした通り危うく舞はこの2人とやりあうところだったのだ。

「舞さんが?うーん、何でしょう…あ。」

心当たりはないが少し悩む様な素振りをした後にみちるはわざとらしく何かに気付いた素振りをした。

それにうまく食いついたようだ。

「なになに?」

「アレの日かもしれません。」

それは少し痛そうに、そして女子にだけしか分からないどうにも出来ない状況を表情や声の調子で訴えてみた。

やはりそこも巧く掴めたようで西島と秋吉は眉を寄せてあの時期の苦痛を浮かべながら何度も頷く。

「それはあれね。辛いわね。」

「そうですよね。あ、社内便ですか?」

「そうなのよ。今日は量が多くて。」

「いつもありがとうございます。そうそう!この前西島先輩から戴いたチョコ、凄く美味しくて私売店に買いに行っちゃいました!」

「やだ!清水さんもハマった?」

「はい。やられました。」

軽やかに言葉を交わしながらうまく機嫌を良くしていく、清水みちるの特技とも言える手口にすっかり二人はハマったようだ。

頬杖付きながら片桐は感心に近い呆れ顔を必死に隠した。

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