私は彼に愛されているらしい2
「有紗?どうかした?」

「あ、いや。その日はちょっと…。」

「はあ?また残業するの?あんた発起人なんだからその日くらいは帰りなさいよ。」

どうやら自分の予定のことで後ろ向きな反応を示した有紗に舞が噛みつくが、いつもならすぐに無理だと返す有紗の反応が微妙なことに首を傾げて言葉を待った。

2つの顔が有紗の言葉を待っている。

どうしてこんな雰囲気になってしまったのか分からないがうまく声が出なくて有紗も次の言葉を出すのに時間がかかってしまった。

「えーと、仕事ではなくて…ですね。人と約束がありまして。」

「人ぉ?」

疑いの眼差しがじとりと有紗につめよっていく。

言いにくそうに濁す有紗へ助けを出しつつ真相を求めたのはみちるだった。

「珍しいね、平日に約束なんて。」

「はい。大輔と…ご飯を食べに行くんです。」

恥ずかしそうに弱々しく明かした有紗はどこか落ち着かない様子、しかしそれを見ていた2人は瞬きを重ねた。

「…大輔くん?」

「はい…。」

みちるの声に照れながら返す。

やはり有紗の様子に不思議な感覚を抱きながら舞とみちるは顔を合わせた。

そして揃ってゆっくりと首を傾げた。

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