私は彼に愛されているらしい2
何だか恥ずかしくなった有紗は顔を赤くして頭を下げると再び片付け作業に没頭した。
大輔との約束まで少し余裕がある筈なのに早く行きたくて仕方がない。
「お疲れ様でした!お先に失礼します!」
荷物を全て抱えて出ていく有紗は周りに一括で挨拶を終わらせた。
「お疲れ様ー。」
「お疲れ。」
周りは残業決定の人たちばかりなので誰もが手元に視線を置いたまま声だけの反応を示す。
しかし沢渡だけは違ったようだ。
「あれ?もっちー帰るの?」
「はい、お疲れ様でした!」
立ち止まることなく沢渡の近くを通り過ぎれば、そのまま背中を向けてフロアから出ていく。
そんな有紗に首を傾げながら沢渡は東芝の下へ向かった。
「東芝さん、これお願いします。」
顔を上げた東芝に差し出したのは今日の残業申請書、本来チーフに出すものだが出張で外しているため東芝が役目を請け負っていた。
物言わず受け取るとそのまま書面に視線を走らせる。
「もっちー何か用事でもあるんですかね。」
ちらりと視線を向ければ、有紗が去っていった扉を見つめながら不思議そうに呟いた沢渡がいた。
またすぐに書面に目を通すと東芝は沢渡にそれを突き返す。
「許可できない。」
「え?」
「申請理由に残業の必要性を感じない。だから許可できないと言ったんだ。」
大輔との約束まで少し余裕がある筈なのに早く行きたくて仕方がない。
「お疲れ様でした!お先に失礼します!」
荷物を全て抱えて出ていく有紗は周りに一括で挨拶を終わらせた。
「お疲れ様ー。」
「お疲れ。」
周りは残業決定の人たちばかりなので誰もが手元に視線を置いたまま声だけの反応を示す。
しかし沢渡だけは違ったようだ。
「あれ?もっちー帰るの?」
「はい、お疲れ様でした!」
立ち止まることなく沢渡の近くを通り過ぎれば、そのまま背中を向けてフロアから出ていく。
そんな有紗に首を傾げながら沢渡は東芝の下へ向かった。
「東芝さん、これお願いします。」
顔を上げた東芝に差し出したのは今日の残業申請書、本来チーフに出すものだが出張で外しているため東芝が役目を請け負っていた。
物言わず受け取るとそのまま書面に視線を走らせる。
「もっちー何か用事でもあるんですかね。」
ちらりと視線を向ければ、有紗が去っていった扉を見つめながら不思議そうに呟いた沢渡がいた。
またすぐに書面に目を通すと東芝は沢渡にそれを突き返す。
「許可できない。」
「え?」
「申請理由に残業の必要性を感じない。だから許可できないと言ったんだ。」