私は彼に愛されているらしい２
「ありがと。じゃあお願いします。」

「了解。」

頼るときは少し丁寧な言葉を遣う、それも大人の女性の対応だと学んだのだ。やはり悪い気はしなかった大輔は少し優しい表情で笑った。

すぐ近くの駐車場に大輔の愛車が停めてある。

ルノーの小型車、中古車だがずっと憧れていたフレンチブルーの車体が手に入った時はよく自慢をされたものだ。

「久しぶりだね、大輔の車に乗せてもらうの。」

「そうか。こっちは通勤で乗ってるからそんな感覚はないな。」

「そりゃ大輔の車だからね。」

暗くて少し色が分かりにくいが、相変わらずの綺麗なカラーに有紗は目を細める。

「どこに乗ったらいい？」

「助手席。」

電話の一件以降、おそらく大輔には思い人がいるのだろうという結論を出していた有紗は念の為に座る位置を確認した。既に相手がいたのならと思えば迂闊なことは出来ない。

しかし大輔からは迷わずに助手席を指定され、首を傾げながらもその指示に従った。

ドアを閉めて服を整えていると大輔も運転席に乗り込んでくる。どうやら先に外で上着を脱いだらしい、後部座席に置く動作の時少し大輔の香りが肩に腕が触れたことは気にしないでおいた。

この時々訪れる近すぎる距離も今さらだ。

でもこの密室はいつまで経っても少し緊張してしまうのは多分有紗だけだろう。そんなことを思いながらシートベルトを着けていると横から名前を呼ばれて顔を向けた。

「有紗。」

「ん？なに…。」

「これプレゼント。」

そう言って目の前に差し出されたのは小さなブーケ。黄色のガーベラがアクセントになったオレンジ系の可愛らしいブーケがストンと有紗の手元に降りてくる。

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