私は彼に愛されているらしい2
「有紗は妬かないよな。」

ポツリと聞こえた言葉に引かれて有紗は大輔の横顔を見た。

「今までも何回か恋愛の話をしたことあるけど、そういや結構ドライだったなと思ってさ。」

怒っている様子でも無いことから大輔は記憶を呼び起こして感想を話しているだけなのだと感じる。

有紗も自分の記憶を辿ってみるがあまりそういった感情に出会うことは無かった。

「うん、そうかも。でも大輔もそうじゃなかった?」

「あー…そうだった、って言えば正解かもな。」

「うん?」

分かりにくい物言いに首を傾げれば、言いにくそうに言葉を濁した大輔がちらりと有紗の様子を探る。

それがどういう感情を示しているのか分からない有紗は眉を下げて疑問符を打ち出した。

「今回、俺はそんなにクールじゃない人間だってことを思い知らされてる。意外と急に熱くなる男だって昔から言われてたけど…急にじゃなくて熱くなりやすいタイプだった。」

「大輔が?」

意外な発言を受けて有紗は瞬きを重ねる。

確かに何の着火かは知らないが急に熱くなるという事は長い付き合いの中でよく知っていた。

周りも大輔に対しそんな印象を持っていることも感じていたし、よくそれでからかったものだと思い出す。

しかし熱くなりやすいという言葉があまりにもしっくりこなくてまた首を傾げてしまった。

「熱くなりやすいかな…。ピンとこない。」

「俺も。でも有紗が絡むと結構な確率で感情が乱されてる。」

「え、私?」

「俺はかなり嫉妬深いらしい。」

またも衝撃的な発言を受けて有紗は口を大きく開けたまま固まってしまう。

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