私は彼に愛されているらしい2
そう信じていたいと有紗は2人に告げ、3人で絆を深める様に抱き合った。

第1回が大盛り上がりのまま終わったまさかの女子会は既に西島と舞との間で第2回の構想が行われているという。

やはり一度腹を割って話せば仲良くなった2人に周りはお腹を抱えて笑った。

凍結車両の片付けが進み終わりが見えたのは木曜日の事、あと1日あれば何とかなると判断した有紗は一段落ついたところで上がることにした。

次の車両の開始が月曜からと迫っていた分また残業が終電ギリギリが続いているが、今日は早く帰れることに安堵の息を吐く。

明日は定時を目指そうと立ち上がり、まだ残っている人たちに挨拶をして大部屋から出て行く。

「もっちー、お疲れ。」

後ろから声がかかり有紗は振り向いた。

そこにはさっき挨拶できなかった沢渡が帰り支度を終えた状態で駆け寄ってくる。

「沢渡さん。お疲れ様です。」

「もっちー、送ってあげるよ。乗ってきな?」

「え?」

当然のようにエレベーターのボタンを押しながら誘われた言葉に有紗は固まってしまった。

沢渡はいつも階段ではなかったか、いま送っていくと言われなかったか、さっき居なかったのにどこから現れたのか、様々な疑問が浮かび少し混乱したが腕時計の表示を見て冷静さを取り戻した。

時間は21時、電車はまだまだある時間帯だ。

「まだ電車がありますから。」

「人の好意には素直に甘えるもんだって!」

沢渡が答えた瞬間にエレベーターが開き、誰も乗っていない箱の中へ2人は流れていく。

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