私は彼に愛されているらしい2
「おはようございます。東芝さん。」

「おはよ。図面、修正できた?」

「はい。指示ありがとうございました、確認お願いします。」

そこからはまた休む間もなく業務に追われていくのだ。

月曜日も火曜日も結局有紗が帰れたのは終電間近の時間だった。おかげで倒れるように眠り余計なことを考えずに済んだのかもしれない。

やっぱりふとした瞬間に思い出すが眠気が勝ってそのまま寝てしまうのだ。

そしてようやく訪れた水曜日。

待ちに待った清水みちるの復帰日だというのに有紗は相変わらず業務に追われてろくに話をすることも出来ない状況だった。

打ち合わせに修正、まさかの他部署からの要望、東芝でさえも苛々しながら業務を進めていく今回は予想以上のボリュームだ。

「頼むから吉澤さん返して下さいよ。」

チーフに願い出る東芝の姿は苛立ちを隠せていなかった。

「仕方ないだろ、まだ研修が続いているんだから。」

「なんで延ばしたんですか。モデラーが2週間不在とかおかしいでしょう。」

「あの時はこんな状況になるなんて読めなかったからだ。お前の言いたいことも分かるけど堪えてくれ、助っ人手配はしてあるから。」

「あの人以下の補助なんていらないですよ。余計な説明とか労力が惜しい。」

「東芝~…。」

東芝の態度にチーフは頭を抱えてしまった。舞への評価が高いのは分かるが、それ以外を受け入れない姿勢は上司としても困るところだ。

しかし実際には東芝の言う様に忙しい業務の中で依頼をする際に説明をしなければいけないのは面倒だ。データの場所から使い方、どの部分にあたるのか今までの経緯などを話をするだけでかなりの時間を必要とする。

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