私は彼に愛されているらしい2
「…プロポーズ、されたんです。」

「プ…誰が?」

「私が。」

「誰から?」

「友達から。」

「友達…って。」

「大輔です。」

そこまで言うとさすがの舞も声を失って固まってしまった。

目を見張ったかと思うと次は瞬きを重ねて眉を寄せる。驚き、混乱し、心当たりを探したといったところだろうか。

何か言ってほしいけど待てずにまた有紗は口を開いて声にした。

「何度か舞さんにも話したことがある高校時代からの友達の大輔です!」

「いや…えー?」

「冗談じゃなくって本気で言ってるみたいで、でも…。」

盛り上がってきた有紗の言葉を遮るようにして扉を開く音が響き、2人の会話は急停止する。一斉におくった視線の先には沢渡の姿があった。

「あれ?もっちーに舞さんじゃないですか。」

「あらやだ、そんな時間?」

沢渡の顔を見るなり舞は時計を確認したが時間は5分と経っていない。ギリギリの時間で動く沢渡の登場に有紗も焦ったが、かなり余裕がある時間で驚いた。

「なんだ、まだ時間があるじゃないの。沢渡くん珍しいじゃん。」

「たまたま早起きしたんで席の確保だけしに来たんです。」

「いつもこれ位で動きなさいよね。いくよー有紗。」

「は、はい。」

入り口付近で立ったままの沢渡を横切って舞は会議室から出ていく。少し遅れて出ていく有紗にやさしい声がかかった。

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