私は彼に愛されているらしい2
話をする前に謝っておかなければと有紗はおそるおそる口を開いた。
「あの、みちるさん。」
「なに?」
「私、本当は水曜日にみちるさんに話そうと思ってて…。でも余計な事考えちゃって、その、変な気を回しちゃったって言うか…。」
何が言いたいのか伝わらず、しどろもどろになって続けようとする有紗をみつめながらみちるは瞬きを重ねる。少しして伝えたい事の僅かな思いに気付いたみちるは納得の声を漏らして微笑んだ。
「ああ。つまり変に気を遣っちゃたってこと?」
「は、い。」
「何の話か分かんないけど…デリケートなやつかな?ふふ、楽しみだ。」
全く気にしていない様子で、むしろこれからの時間に期待をしながら笑うみちるに少しだけ胸を撫で下ろす。これがみちるの優しさなのかは分からないが、有紗が救われたことは確かだ。
「ありがとうございます。」
「そうだよー。見て、有紗の好きそうな飲み物2本も買ってきちゃったんだから。」
「わっ!これ好きです!嬉しーい!」
「よしよし。私の判断は間違ってなかったな。」
有紗の反応を受けて満足そうにみちるが微笑む。こうしたさり気ない導き方に有紗はいつも感動していた。
やっぱり、みちるは凄い。
魔性の女と言われている所以は相手に気を遣わせない態度や空気の作り方を言っているのだと思う。それを自分に対する優しさだと勘違いしていなくても、みちるの人柄や魅力に落ちてしまうのだ。
「よおーし、空いてるぞ!」
辿り着いたのは本館の屋上で、庭園になっている場所だった。
有紗たちがいる別館から少し距離があるので知り合いがいる可能性は低い、なにより喫煙所も別の館の屋上に移動したので利用者が少なかった。広い敷地の中、2組のカップルがいる以外に人はいないようだ。
「どうせカップルなんて自分たちの世界に入り込んでるからね。こっちの会話なんて聞いていないでしょ。さ、食べながら話そー!」
年が離れた最年長とは思えない若々しいノリで舞はずんずんと進んでベンチに座る。みちるも有紗もそれにただ付いていくだけで何も言わなかった。
「あの、みちるさん。」
「なに?」
「私、本当は水曜日にみちるさんに話そうと思ってて…。でも余計な事考えちゃって、その、変な気を回しちゃったって言うか…。」
何が言いたいのか伝わらず、しどろもどろになって続けようとする有紗をみつめながらみちるは瞬きを重ねる。少しして伝えたい事の僅かな思いに気付いたみちるは納得の声を漏らして微笑んだ。
「ああ。つまり変に気を遣っちゃたってこと?」
「は、い。」
「何の話か分かんないけど…デリケートなやつかな?ふふ、楽しみだ。」
全く気にしていない様子で、むしろこれからの時間に期待をしながら笑うみちるに少しだけ胸を撫で下ろす。これがみちるの優しさなのかは分からないが、有紗が救われたことは確かだ。
「ありがとうございます。」
「そうだよー。見て、有紗の好きそうな飲み物2本も買ってきちゃったんだから。」
「わっ!これ好きです!嬉しーい!」
「よしよし。私の判断は間違ってなかったな。」
有紗の反応を受けて満足そうにみちるが微笑む。こうしたさり気ない導き方に有紗はいつも感動していた。
やっぱり、みちるは凄い。
魔性の女と言われている所以は相手に気を遣わせない態度や空気の作り方を言っているのだと思う。それを自分に対する優しさだと勘違いしていなくても、みちるの人柄や魅力に落ちてしまうのだ。
「よおーし、空いてるぞ!」
辿り着いたのは本館の屋上で、庭園になっている場所だった。
有紗たちがいる別館から少し距離があるので知り合いがいる可能性は低い、なにより喫煙所も別の館の屋上に移動したので利用者が少なかった。広い敷地の中、2組のカップルがいる以外に人はいないようだ。
「どうせカップルなんて自分たちの世界に入り込んでるからね。こっちの会話なんて聞いていないでしょ。さ、食べながら話そー!」
年が離れた最年長とは思えない若々しいノリで舞はずんずんと進んでベンチに座る。みちるも有紗もそれにただ付いていくだけで何も言わなかった。