私は彼に愛されているらしい2
「何やってんだよ。」
舌打ち交じりで呟いた大輔はそのままドアを開けて肩を抱いた有紗ごと部屋に入っていく。
室内に入ったことで分かる違和感、なんだか景色が揺れて見えて気持ちが悪い。思わず目を細めて体を重たくする有紗の肩を抱いたまま大輔は勝手知ったる部屋の中を横切った。
奥の部屋が有紗の寝室だ、大輔はベッドに有紗を座らせるとぐるりと部屋の中を見渡した。
「体温計は?」
「そこの…白い箱の中。」
有紗が指した場所に進み、白い箱の中から体温計を取り出して渡す。黙って受け取った有紗はそのまま襟元から差し込んで脇にあてた。
確かにグラグラと頭がふらついているが熱なんてあるのかな、そんなことを思いながらぼんやりと床を眺める。
目に映るのはお気に入りのラグマット、明日天気が良ければ洗おうかと考えていたら自分の体に違和感を覚えて鼓動が速くなった。
なんだろう、頭が痛いし耳も痛くなってきた気がする。
ピピピという電子音も耳について不快感を隠せずに、有紗は不機嫌そうに体温計を取り出した。
「何度?」
有紗が表示を見たのと同時に大輔から声がかかる。
「…38度。」
滅多にお目にかからない数字に驚きと疑惑が混ざった視線を送る。平熱が低めの有紗には37度でも辛いものなのにそれを超えた体温にもう何をする気力も起きなかった。
なんて数字、まるで地獄じゃないか。
頭が痛い筈だ、耳も痛くなる筈だ、涙が出そうになる筈だと感情が荒み、熱があると自覚した瞬間に一気に体が重くなってきた。
もう動く気がしない。
「薬は?使えそうなの何かある?」
「分かんない…。」
薬箱の中身なんて生理痛対策に買った薬があることしか覚えていない。そして多分それじゃ駄目だとわかっている。
案の定大輔からも同じような声が漏れてきた。
舌打ち交じりで呟いた大輔はそのままドアを開けて肩を抱いた有紗ごと部屋に入っていく。
室内に入ったことで分かる違和感、なんだか景色が揺れて見えて気持ちが悪い。思わず目を細めて体を重たくする有紗の肩を抱いたまま大輔は勝手知ったる部屋の中を横切った。
奥の部屋が有紗の寝室だ、大輔はベッドに有紗を座らせるとぐるりと部屋の中を見渡した。
「体温計は?」
「そこの…白い箱の中。」
有紗が指した場所に進み、白い箱の中から体温計を取り出して渡す。黙って受け取った有紗はそのまま襟元から差し込んで脇にあてた。
確かにグラグラと頭がふらついているが熱なんてあるのかな、そんなことを思いながらぼんやりと床を眺める。
目に映るのはお気に入りのラグマット、明日天気が良ければ洗おうかと考えていたら自分の体に違和感を覚えて鼓動が速くなった。
なんだろう、頭が痛いし耳も痛くなってきた気がする。
ピピピという電子音も耳について不快感を隠せずに、有紗は不機嫌そうに体温計を取り出した。
「何度?」
有紗が表示を見たのと同時に大輔から声がかかる。
「…38度。」
滅多にお目にかからない数字に驚きと疑惑が混ざった視線を送る。平熱が低めの有紗には37度でも辛いものなのにそれを超えた体温にもう何をする気力も起きなかった。
なんて数字、まるで地獄じゃないか。
頭が痛い筈だ、耳も痛くなる筈だ、涙が出そうになる筈だと感情が荒み、熱があると自覚した瞬間に一気に体が重くなってきた。
もう動く気がしない。
「薬は?使えそうなの何かある?」
「分かんない…。」
薬箱の中身なんて生理痛対策に買った薬があることしか覚えていない。そして多分それじゃ駄目だとわかっている。
案の定大輔からも同じような声が漏れてきた。