私は彼に愛されているらしい2
よく分からない拘りを力説され吉澤と君塚はたまらず大笑いをした。ただでさえ不貞腐れていた有紗の頬はさらに大きく膨らむ。

「いざとなったら支えるってのは薄情な気がして嫌だったんでしょ?」

「それをデートの時に口にして一体どうしたいのかが分からなかったんです。」

「男としては最高の自己アピールなんだけどねー。その時の持田さんの顔が想像できるわ~。」

きっとあんぐりとしながらも信じられないような物を見る目だったんだろうと笑う君塚に有紗は睨みを利かせて黙らせた。

「女が強いと弱い男しか寄ってこないよ?有紗は弱い男には興味ないんでしょ?」

「とにかく疲れたって話です。」

「まだまだ青いな~。」

「もういいです!プロテインは忘れて次を探しますよ!」

舞に続いて君塚にもからかわれた有紗は頭を切り替え、目の前にある端末に向き合ってマウスを握りしめた。冒頭にも言ったように只今は残業真っただ中、立派に給料が発生している時間なのだ。

手元にはやらなければいけない仕事が積み重なっている。恋も仕事も次々いかないと立ち止まっている暇はないと気合を入れた。

「仕事が私を待っているんです。」

「また同じことにならなきゃいいけど。」

「危ないね~。」

「もう!2人とも仕事をしてください!」

そのあと待ってたよ、になにか言われたが有紗は聞く耳持たず適当な相づちを入れて話は終わった。仕事だ仕事、てっきりプロテインといい関係になると予想していたから次の合コンの予定も当分ない。今は仕事を捌いていくしかやることがないのだ。

いっそこのままゆっくり構えて、しばらくは合コンも紹介も控えよう。

「色恋は休憩して仕事に励んだ方が人生有益かも。」

「それ本気?」

ぽつりと呟いた言葉に舞の微笑んだ声が聞こえてきた。その時。

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