ノスタルジア~喫茶店を訪ねて~
 最近は、翔さんの仕事が忙しいらしく、なかなか会う機会がなかったのだ。
平日なので授業はあったが、体調不良を理由に早退した。だってこの機会を逃したら、いつまた会えるか分からないから。家に帰り、私服に着替えいつも会うファミレスに早めに入った。
 一応用心して、外から見えにくい端の席を確保する。12時になると、店内に客が増えていき、騒がしくなった。ウェイターがあわただしく動いている。12時を過ぎても、翔さんは来なかった。きっと忙しいのだろうと考え、13時まで待つことにした。 あれほど騒いでいた女子高校生が、携帯をじっと見つめて黙っていた。
 さっきの女子高校生の話は耳にしたことがある。都市伝説のような不吉な話はなく、たいていはハッピーエンドで終わる。またこの町だけではなく、関東全域にまでその噂はあるらしい。
 『後悔したことをかなえてくれる店』
確かそれだけではなかった気がするが。私は、何か小骨が突っかかるようなを感じを覚えた。
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