ノスタルジア~喫茶店を訪ねて~
 ふと心に空しさが沸き起こり、キューンと寂しくなった。捨てられた子犬のように、体は縮みこんだ。くぼみに溜まった水溜りに映った私は、ひどく怯えていた。
 (もしかしたら・・・)
 頭は悪い方へ、自然と考えてしまう。私の心は、雨雲のように曇った。
(もしかしたら翔さんは、別の大人の女性と付き合っているのかもしれない)
(私は、遊ばれていて、捨てられてしまうかもしれない)
 汗がたらりと、頬を伝う。不安とあせりに駆り立てられ、携帯を持つ手が震えた。
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