ノスタルジア~喫茶店を訪ねて~
 気がつくと、私は車を何とか避けて、地面にしりもちをついているように見えた。いつの間にかファミレスの店員が、来ていて心配しているようだった。
 幸いにして、痛みがない。怪我はしていないようだ。でも不思議な感覚だ。まるで魂が抜けて、体だけが取り残されているようだ。そういえばなぜ、私は空に浮かんでいるのだろう。
 地上の私は、元気そうに体を動かしている。私の意に反して動いている。一体、誰なのだろうか。
 すっと背筋が冷たくなるような気がした。私は、恐る恐る地上に降りて、勝手に動いている私に触れようとした。
宙をつかむように、体が通り抜けてしまう。
「お姉ちゃん、大丈夫?」私が、私に向かって話しかけた。
< 26 / 128 >

この作品をシェア

pagetop