ノスタルジア~喫茶店を訪ねて~
 タバコを持つ手が震え、灰皿にタバコを押し付ける。体は小刻みに揺れ、床に落ちているタバコを探し出す。さっき吸ったのが最後だったらしく、空の箱を握りつぶし、投げつけた。区シャットつぶれた箱は、隅にいる子どもに当たった。
 携帯電話のボタンを押す。メッセージにつながる。ボタンを押す。メッセージにつながる。無意味な繰り返しの動作に、女は心が苦しくなりそうだった。
 不穏な空気が、暗い部屋に満ち、床に落ちているゴミがもぞもぞと動くと、子どもは恐怖に震えた。
 ダムが決壊したように、子どもは声を上げた。
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